" /> アフターコロナの事業再生を考える(特別編) - 地方銀行員が語る「中小企業再生支援」の現場

アフターコロナの事業再生を考える(特別編)

事業再生

こんにちは、#ひろとし課長#です。某地方銀行で営業店管理職をやってます、現職です。

私は長年、事業再生のセクションに従事し、つい最近まで責任者をやっておりました。

これらの経験を、2022年より、「事業再生」をテーマにブログにて紹介しています。

さて近頃、紹介しておりました「アフターコロナの事業再生」シリーズですが、第4回でいったん終了するつもりでおったのですが、最近とある情報を耳にして、激しく憤りを感じたため、再度筆をとることに決めました。

その憤りとは、

「もはやコロナではない」

某政府系金融機関が、この言葉を合言葉としている、という情報を聞きました。

もはやコロナではない!

噂によると、新規与信対応についてはスタンスが厳しくなり、またリスケ対応先に対する新規与信対応は原則しない、らしい、との情報・・・・

たしかに、これまでコロナ禍においては、弊社と協調しながら、リファイナンス対応していた取引先に対し、政府系金融機関の担当者から、

某政府系さん
某政府系さん

最近本部の担当が変わりまして、これまでのようにいかないのですよ。

なんて、いつもと違ってつれない返事。

まあ、本部も担当が変わるとお客さんもわからないし、勝手がわからず、時間がかかることはよくあることです。そう思って、

#ひろとし課長
#ひろとし課長

それでも、本部を押し通してくれるんですよね?

と聞き返したんですが、

某政府系さん
某政府系さん

そう思ったんですが、再考の余地はなさそうです。

#ひろとし課長
#ひろとし課長

・・・・・・・

このやりとりのあとすぐに、「もはやコロナではない」を合言葉に、なんて情報が入ったので、なるほどそういうことだったのか、という風に合点がいきました。

中小企業支援はこれからが本番なのに

これが本当ならば、私は非常に残念です。今中小企業はゼロゼロ融資の返済スタートの真っ只中。このゼロゼロ融資を万一のため、という余裕資金として利用していた企業ならともかく、多くの中小企業は、もとより借入依存度が高く、コロナ禍でのゼロゼロ融資を調達したことにより、過剰債務状態に陥っています。

通常時においても返済が厳しい状態が続いていたにもかかわらず、ゼロゼロ融資の返済負担が追加でのしかかり、しかもGW明けは5類に分類され、気持ちの上では「もはやコロナではない」なのでしょうが、この3年間の未曽有の危機を思えば、いきなり100%超で業況が回復する、などあり得ないです。ましてや、ウクライナ問題による資源、燃料費の高騰、人手不足による人件費の高騰も深刻で、コロナ前の業績に戻る企業の方が少ないのではないでしょうか。

返済負担が厳しく、追加の資金が借りにくい、となると、企業の選択肢はリスケに走るしかありません。私は企業はCFが相応になるまでリスケに応じるべきだ、とこれまで説いてきましたが、これはリスケに応じても、企業の成長、再生に帰する資金は対応するべき、ということを前提としている考えです。ましてや政府系金融機関から、リスケ先に対して、新規与信は出すことができない、なんて方針を出された場合、せっかく明るくなり出している企業の成長の芽を摘んでしまうことになる。

コロナの据え置き終了後、そのまま約定返済できる企業が普通、できない企業はゾンビ企業。そう区切ってしまったら、さすがに中小企業がかわいそうです。

役割分担

金融機関には役割というものがあります。我々地方銀行は地域の地場中小企業を支えるのが本業。その中には成長企業もあれば、再生企業もあります(従前も申し上げているが、ローカル中小企業は成長よりも、承継・再生企業が多い)。地方銀行は公のために資する、というミッションはあっても、所詮は株式会社、民間会社であるがゆえ、地元企業支援にも限界というものがある。そこを補完して、我々と協調するのが政府系金融機関や信用保証協会の役割なのではないでしょうか。

優良企業に対してならば、わざわざ政府系さんをお願いするまでもありません。われわれ民間だけで十分でしょ。もし、地方の中小企業の対応方針が、首都圏(霞が関、虎ノ門)あたりで画一的に決められてしまっているとしたら本当に残念。コロナ禍において、ともに中小企業支援に奔走してきた、あの時のように、われわれと協調体制を組みなおしてほしい、私の願いはそれだけです。

アフターコロナ、これからでしょ!

これまでの環境は、感染が収まったら再び拡大を繰り返してきました。企業が新しい取組みを実行しようにも、環境がそれを許してくれませんでした。しかし5類に分類されてから以降は、各地の感染状況がメディアに取り上げられ得ることも少なくなり、人の動きはほぼ正常な状態、消費は盛り上がりを見せています。いまこそコロナ禍で考えに考え抜いていた新たな取り組みに、思いっきりアクセルを踏むべきなのです。

「もはやコロナではない」

だからこれからは過剰融資対応した分のコロナ資金を回収していく、のではなく、

「もはやコロナではない」

だからアフターコロナに向けて、本気で伴走支援を行うべきなのです。

ホントに声を大にしていいたい。

いっているけど。

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