こんにちは#ひろとし課長#です。
私は某地方銀行の中小企業の事業再生セクションに、約10年間従事し、
最近まで責任者を務めておりました。
現在、中小企業の事業再生分野に携わっている方、また、中小企業の経営者の方などに、
私のこれまでの経験とノウハウなんぞをお伝え出来たらと考えています。
さて、前回(5日目)は、ドラッガー教授の「企業の使命と目的」という側面から、
地方銀行がなぜ、地域中小・零細企業の再生に取り組まねばならないのか、を論じましたが、
今回は、金融庁の金融行政方針、などを参考に、考えていきたいと思います。
金融仲介機能とは?
金融庁HPにおいて、「金融仲介機能発揮に向けた取組みについて」を検索すると、
金融仲介機能の発揮に向けた取組み
地域金融機関は、地域企業の真の経営課題を的確に把握し、その解決に資する方策の策定、実行に必要なアドバイス、資金使途に応じた適切なファイナンスなどを組織的・継続的に実施することにより、地域企業の生産性向上を図り、ひいては地域経済の発展に貢献していくことが求められております。
金融庁HP
金融仲介機能とは、借り手と貸し手の仲介を行うことです。金融機関が借り手と貸し手のニーズをうまく調整することで、金融取引に伴うリスクやコストを軽減させること・・・。
とネットで検索すると出てきます。
そんなこと当たり前ですよね。
こんな当たり前のビジネスモデルをなぜ金融庁がいまさら強調するのか?私も甚だ疑問でした。
とにかく、銀行にとって、金融庁ほど面倒な存在はないのです。
銀行の中期経営計画の趣旨やキーワードなど、その時の金融行政方針によって、
ガラリと変わります。
最近は、金融検査マニュアルの廃止など、各銀行の独自性を重んじながら、
地方経済の発展に寄与するような施策が中心ですが、
私が若いころ(代理に成りたて)までは、
金融庁(当時は金融監督庁でした)=資産査定でした。
金融庁検査は、営業店時代の臨店(抜き打ち検査)や
本部での資産査定(不良債権チェック)も経験しましたが、
まあ権力を振りかざし、机を叩いて恫喝されるなど、まさに半沢直樹の世界でした。
金融庁が、「金融仲介機能の発揮」なんて、
銀行にとっては、いまさら当たり前のことを言う理由には続きがあります。
持続可能なビジネスモデルとは?
金融庁の主張によると、
銀行は、旧態ながらの横並び体質や、あいかわらずの融資ボリューㇺ増強といった
「これまで同様なビジネスモデル」では、到底生き残っていけないと、
警鐘を鳴らしています。
安定的な収益基盤を構築する、「持続可能なビジネスモデル」
を構築することが重要、といっているのです。
金融庁がいう、「持続可能なビジネスモデル」としては、
「共通価値の創造」 という言葉を使っています。
- 地方銀行は、地域の企業などと密接に対話し、地域企業の価値の向上に努める。
- 地域の企業や産業の活性化に貢献することで、自らの顧客基盤の強化を実現する。
- それが、ひいては安定した収益基盤の構築につながる。
こういう好循環を生み出すことだといいます。
金融庁ともあろうお方達が、銀行にとっては、ホントに当たり前のことを、
ここまで強調して言うのか?
つまり、銀行は「金融仲介機能を発揮していない」と言ってるの?
- 銀行は、担保や保証に依存しすぎ
- 企業の真の実力を見極めていない
- 銀行が企業の経営課題によりそい、解決に向けて、汗をかき、成長や再生を促していない
そんなことはない、少なくとも当行は地域の中小企業と共存共栄をやっている。
やっぱ、わかってないな~。そんな自負をしていた私でした。・・・
しかし、当行のある案件に直面し、考えさせられたことがありました。
金融庁の言ってることは当たってたんだ、と。
次回は「金融排除」というキーワードで検討てみたいと思います。
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