" /> 現役地方銀行員「課長」が、中小企業支援のため、「副業ブログ」はじめました!【18日目】 - 地方銀行員が語る「中小企業再生支援」の現場

現役地方銀行員「課長」が、中小企業支援のため、「副業ブログ」はじめました!【18日目】

事業再生

こんにちは、あらためまして現役地方銀行管理職の#ひろとし課長#です。

私は某地方銀行の中小企業の事業再生セクションに、約10年間従事し、

最近まで責任者を務めておりました。現在は営業店で管理職を務めております。

現在、中小企業の事業再生分野に携わっている方、また、中小企業の経営者の方などに、

私のこれまでの経験・ノウハウなんぞをお伝え出来たら、と思っています。

これまで、中小企業の事業再生に取り組む際に、なにをすべきか。

まず資金繰りを確認する、そして経営者と目線を合わせる、この二つを論じてきましたが、

その後、について語っていきたいと思います。

経営改善計画書によくあるパターン

本部にいるとき、営業店から申請されてくる企業の経営改善計画書を見ると、

アクションプランと、PL計画、それしかない計画、よく見かけます。

おそらく社長とヒアリングするなかで、こうしましょう、ああしましょう

とか、社長の考えるアイデアをドキュメント化し、アクションプランを記載していく。

PL計画について、

売上については、既存の売上額、+「新規開拓」「既存先のシェアアップ」「値上げ」など、

経費面では、役員報酬、人件費、そして経費を黒字になるまでギリギリになるまでカット、

それを、行員が机上で見積もって完成、といった感じでしょうか。

ホントにこの通りにいくのならいいんですが、たぶん無理です。

計画策定に着手するまえに、ひとつハッキリさせなければならないことがあります。

それは、この企業は本当に再生するのか、ということ。

よくみかけるパターンのものは、その企業が再生するかしないかわからないけど、

とりあえず作ったものということになります。

本当に再生するの?

再生専門のコンサルタントは、PL計画を作る前段階として、

必ずデュー・デリジェンス(以下DD)を行います。

DDというと、会計士が策定する財務DDをイメージする方が多いと思いますが、

私が重視するのは「事業DD」です。

事業DDは企業の概要や、ビジネスモデル等の情報が網羅されておりますが、

一番重視したいのは、「窮境要因」「その窮境要因を除去できるか否か」です。

窮境要因とは?

「窮境要因」とはなんでしょうか?

簡単にいうと、その企業が業績悪化に陥った原因、ということです。

「窮境要因の特定なくして、再生なし。」

私はこれは、事業再生の格言だと思っております。

病気の患者さんの治療と同じです。

病気の原因がわからないまま、あれこれ治療できませんよね。

それと同じ、窮境要因をつかまないまま、改善のアクションプランを作るなど、

医者の診察もなく、勝手に薬飲んでいると同じ事なのです。

もしかしたら、気持ち回復するかもしれないけど、

適切な治療策にはならないのと同じです。

それでは、どうやって窮境要因を特定するのでしょうか?

再生企業の決算書を10年くらい並べてみてみますと、業績の変化が見てとれます。

黒字から赤字におちてしまった。

その前後、

粗利率が下がり始めている、在庫が増加傾向にある、

その他流動資産、固定資産が増加した、人件費が増加している、

そして、借入金が右肩上がりで増えている、

などなどです。

ターニングポイントを見て、その前後の財務数値の変化をとらえます。

その時に企業がなにが起きているのか?

これを徹底的に分析する、

ああ、なるほど、こういくことか。と腹落ちしていくことが重要なのです。

窮境要因を特定する

社長に、なぜ業績が悪化したのですか?

という問いに対して、

リーマンの影響、米中貿易摩擦(米大統領、中国の国家主席)とか、東日本大震災の影響

など、外部環境をあげる方が圧倒的に多いです。

最近では、間違いなくコロナ禍が大きな外部環境の変化です。

当社の窮境要因は、外部環境につきるという経営者。

ホントにそうでしょうか?

すべては、環境のせい、他人のせい。

確かにコロナはすべての業種に影響を及ぼしていますが、

御社はコロナ前から赤字ですよね?

もしコロナがすべての要因だとすると、世界中の事業者は業績不振となることになります。

しかし、同じ環境下、同じ業種にもかかわらず、業績不振にならない企業が存在することも事実です。

この違いはなんなのでしょうか?

経営者の言うことを鵜吞みにすることなく、客観的に見なければダメです。

外部環境が悪化すると、もともと内部に弱点が多い企業は、もろくも崩れていきます。

仮に、主力先一社に依存していた製造業がいたとします。

その企業は、主力先から取引解消、縮小を迫られた瞬間、業況は転げ落ちていくでしょう。

この場合、外部環境要因とすると、「主力先の取引解消」となります。

しかしそれだけではありません。

内部環境の面からみると、主力先との取引解消にもかかわらず、

他の取引先が見つからない、当社の製品力、営業力、さらに、

こうなる事態を予測していなかった、経営者の経営能力まで問われることとなります。

窮境要因の特定は、外部環境と内部環境が複雑に絡み合い、判読困難なケースも多々あります。

ただし、中小零細企業の場合、よいも悪いも、社長次第ということがよくあります。

外部環境は刻々と変化します。

それになんとか自社のビジネスモデル、経営資源を合わせて、事業を継続させていく。

厳しい言い方ですが、それのかじ取りをするのは社長、経営者なのです。

外部環境のせい、人のせい、そうしたい気持ちはわかりますが、

それでは生き残れないということです。

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