現役地方銀行管理職#ひろとし課長#による、中小企業支援のための事業再生ブログ。
前回に引き続きの24日目も「経営改善計画書」の「金融機関の支援手法」のところを
中心として話を展開していきます。やっぱここが重要ですものね。
今回のテーマは、リスケかリファイナンスか、ここらへんの金融機関の考え方について
お伝えできたらと思います。
こんにちは、#ひろとし課長#です。
某地方銀行の中小企業の事業再生セクションに、約10年間従事しました経験を活かし、
現在、中小企業の事業再生分野に携わっている方、また、中小企業の経営者の方などに、
私のこれまでの経験・ノウハウなんぞをお伝え出来たら、と思ってブログ書いてます。
リスケは難しい?
前回のテーマで、事業再生計画のなかでの、金融支援策については、
金融機関は、あくまでCFの範囲内の返済を容認しないと、
再生企業の資金繰りはもちません、
という話をしました。
「営業店としては支援したいのですが、本部に送ると厳しいことを言ってきます。」
こんなことを言う金融機関の担当者はよくいました、今もですが。
本部のせいにして、自分を守りたい、
昔は、こういう人が多かったのですが、
最近はといいますと、再生支援の考え方が定着してきたことの影響でしょうか?
お客さんに近い立場の営業店(支店)の支店長としては、
自分のお客さんはなんとか救いたい。
こういう支店長が結構います。
(ただし、事業再生の手法、やり方がわかっていない)
また、こんな話も結構聞きます。
「リスケをしてしまうと、本部に移管されてしまいます。」
とか、
「リスケをしてしまうと、追加の資金を対応することができなくなります。」
など、
これはいったんリスケをしてしまうと、
その企業は「条件変更先」というレッテルが張られ、
おそらく金融機関(保証協会も含む)の
決裁ランク(どこの権限で融資を承認するかということ)が、
これまで、営業店長決裁であったものが、本部に、しかも、
上層部決裁に跳ね上がってしまう、という金融機関が多いみたいです。
昔は、リスケ=不良債権(条件緩和債権、破綻債権)であって、
不良債権処理が大命題であったのですが、
今では、金融庁から中小企業への支援要請も強く、
不良債権処理を表向きに行っている金融機関は少ないと思います。
(一部に業務改善命令を受けているところもありますが・・・)
不良債権となることが理由で、
リスケをいやがる金融機関はあまりないはずです。
一方で、支店長が自分の決裁で行えなくなることが理由で、
リスケを嫌がる金融機関はたしかに見られます。
リスケかリファイか?
では、そういう金融機関にはどうして対処すればよいのでしょうか?
不思議な話ですが、リスケではなく、
リファイなら、という金融機関が案外おります。
特に、政府系金融機関や保証協会については
リスケ=次の対応が難しい、
という公式のようです。
リスケというのは、前も申し上げたように、
元金を据え置き、あるいは軽減など、いわゆる「条件変更」です。
では、リファイとは?
「リファイナンス」ですから、追加融資のことですよね。
折り返し、とか、ハネ資金、とか、様々な言い方ありますが、
ここでのリファイとは、元金据え置きと同じ効果があります。
「3月末の残高を基準に元金据え置きしてほしい」
こういうリスケ要請があったとします。
通常は、4月から約定返済を止めさえすれば、この要請には応えられます。
しかし、リスケを嫌がる金融機関は、どう対処するかといいますと、
なんと、4月からの1年間の約定返済分を、
追加融資対応=リファイナンス、するのです。
約定返済によって落ち込んでいく残高を、先行して融資対応するので、
企業にとっては元金を止めてもらったことになります。
対応した金融機関としては、来年の3月末には約定返済が進み、
残高が変わらない、ということなのです。
当然、追加融資実行後に即デフォルトしてしまっては、
目も当てられませんが
とにかく、リスケと同様の効果があるのです。
もっとも、このやり方は、中小企業再生支援協議会(現:中小企業活性化協議会)
には認めてもらえません。
支援協さんのスキームは、あくまで元金据え置きを要請いたします。
支援協さんとすると、計画成立と同時に融資対応するならばいいのですが、
次年度以降、本当に金融機関がリファイに応じてくれるのか?
ということがポイントとなるようです。
だから、いま、返済を止めてほしい、となるのでしょう。
政府系金融機関などが支援協スキームを嫌がることが、結構あるのですが、
(支援協議会と政府系金融機関は同じ中小企業庁の管轄なのに)
これは、支援協=リスケ→本部主導となるようで、
自分たちの権限ではどうにもならなくなってしまうから、
ということのようです。
しかも、こうした金融機関は、リスケ=追加資金の対応はNGとなるようで、
今後は、追加の資金対応が(例えばリスケ計画期間中の、設備資金など)、
極端に難しくなるようです。
どっちがいいの?
私の立場から言わせてもらうと、
金融機関それぞれの考え方もあるので、
やりやすいようにやっていただければいい、と思ってます。
リスケじゃなきゃNO、ということもなく
リファイナンスで、協調支援します、
というならば、それでもいいし。
要するに協調して、同じテーブルに乗り、
金融支援しましょう、ということなのです。
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