" /> 現役地方銀行員の事業再生ブログ【29日目】計画の同意からバンクミーティングまで - 地方銀行員が語る「中小企業再生支援」の現場

現役地方銀行員の事業再生ブログ【29日目】計画の同意からバンクミーティングまで

事業再生

こんにちは、#ひろとし課長#です。これまで、地方銀行における「事業再生」の現場、

というマニアックなテーマに、#ひろとし課長#流に述べてきましたが、

今回は、計画の合意から、バンクミーティング、まで行きたいと思います。

これまでの一連の流れにおいて、地方銀行が計画、計画と求める理由や、

その重要性なんか述べてきましたつもりですが、

企業側が作った計画(メイン行が協力するケース、外部専門家が作るケースも含め)について、

はたして金融機関は何を同意するのでしょうか?

さらに金融機関においては、誰が決裁権限をもっているのでしょうか?

銀行は何を同意するのか?

まず金融機関は計画の何を承認するのですか?という疑問ですが、

普通考えて企業が作る計画、つまり他人が作る計画に対して、

例えば金融機関として参考意見は求められるケースはあるにしろ、

融資先とはいえ、資本関係にもない、他人企業に対し、

「同意できない」

なんて、なんの権限をもって、強権を発動するのか?

金融機関が同意するのは、計画期間中の金融支援、

要するに、計画期間中リスケ(条件変更)について同意する、ということ。

リスケ期限は、金融機関にもよりますが、長くて1年、というところでしょう。

しかし、1年毎に同じパワーをかけながら、金融機関交渉しているのであれば、

企業側としても、再生できるものも再生できなくなってしまう。

とりあえず、計画期間中の3年間は、このレベルのリスケで我慢してください。

もし、CFが上振れした場合には、追加で返済しますので。

こんな内容を同意する、ということです。

次に、決裁権限はどうなっているの?ということについて、

決裁権限とは、

銀行が融資先に貸出を行う際に、誰が諾否を判断できる責任者なのか、ということ。

つまり、営業店で決裁できるならば、支店長決裁

本部案件で、担当審査役レベルで決裁できるもの、

あるいはさらに上席にあがり、課長、部長、担当役員、最高では頭取決裁

となる場合もあります。

計画の同意については、先ほど述べましたように、

リスケについて応諾する、ということなので、条件変更(リスケ)を決裁する、

あるいは、計画期間中、再生企業に対する対応方針について、決裁する、

ということになります。

再生案件におけるリスケについては、どの金融機関も本部決裁としてるようです

政府系金融機関は、リスケ案件の支店長決裁は認めていない様子(本部行)、

しかも支店から手を放し、本部に担当替えとなることもよくあります。

メガバンクも、本部に相談して、

という言葉も聞きますので、おそらく本部決裁なのでしょう。

当行も同様で、通常の営業店案件から、そのような事態になって、

私が在籍した再生セクションに上がってくるわけです。

金融機関にとって、決裁権限が上位にシフトしてしまうということは、

事務処理の手間もかかるし、時間もかかる、

ましてや、本部からイロイロ聞かれるため、負担を考えると本部行は嫌がります。

政府系さんは特に嫌がるような気がします。

リスケにはうるさい政府系さん

ちなみに、金融機関の諾否のポイントについては、

これまでも述べてきたように、

経済合理性」=破綻した場合と事業継続した場合、どちらが回収最大化が図れるのか、

「衡平性」=取引金融機関がそれぞれ納得のいく回収額となっているか

の2点がポイントとなります。

計画同意と破綻回収どっちが得か?

バンクミーティングについて

バンクミーティングについて説明します。

私が若いころ(20数年前)にバンクミーティングというと、大騒ぎだったのですが、

再生支援協議会(現:活性化協議会)や、信用保証協会などが積極的に活用してから、

いまでは、当たり前のような会議となってしましました。

ミーティングなので、当然に呼びかけを行う中心人物がいます。

再生企業が金融機関を呼びかけを行ったり、メイン行が行うケース

先ほど述べたように、再生支援協議会案件ですと、支援協が音頭取りを行います。

簡単に、再生支援協議会が行うバンクミーティングの流れを説明すると、

以下のようになります。

  1. 中小企業再生支援協議会(現活性化協議会)統括責任者挨拶
  2. 再生企業の社長あいさつ
  3. 計画の説明(外部専門家が行うケースが多い)
  4. 金融支援のお願い(ここが大事)
  5. 今後のスケジュール(回答はいつまでになど)
  6. 質疑応答

だいたいこんな感じでしょう。

質疑応答が最後の最後なので、金融機関はそれまで黙って聞いています。

支援協は、会議は1時間程度を想定しているようなのですが、

なかには、財務と事業の専門家が分かれている場合など、

だらだら延々と説明する専門家もおり、辟易してしまうこともあります。

最高で3時間半というバンクミーティングを経験したことがあります。

その時は、大荒のバンクミーティングだったのですが。

最後の質疑応答について、

最初に切り出す金融機関はなかなかいません。

最初のうちはみんな顔色を窺っているのか、

誰かが質問すると、手を挙げる、ということが多いです。

もちろん、最初から否を言いたくて、喧嘩腰でくる金融機関は、

まっさきに反対を述べることもあります。

通常のリスケ程度の計画でしたら、DDや計画内容についての簡易な質問、

ようするに稟議申請のための情報収集程度の質問のみで、

シャンシャンで終わるケースが多いです。

なお、ミーティングでは無言だったくせに、

終了後に、電話で企業やメイン行、支援協議会に、イロイロ問い合わせや、

マイナスの意見具申する金融機関も、中にはいます。

計画の内容によっては、ホントに再生するのか?と疑問視する計画もありますので、

そういう時には、メイン行(支店長にやってもらう)に

「当行が全面的に応援していきます。」

というような、力を込めたメッセージを意図的に発信することも多いです。

まあ、メインが支援するならば、というところが、落としどころなのでしょう。

ですが中には、バンクミーティングにおいて、

メイン行が積極的に否を主張する、計画内容にかみつく、ケースもありました。

その企業は(当行がメインではない)、その後民事再生を申請して、のち破産となりました。

従前から述べているとおり、中小企業の事業再生は、メイン行の支援なくして成り立ちません。

また、再生企業がバンクミーティング開催を呼びかけるケース、について

メイン不在なのか、メイン行が協力しないのか、かなり大変です。

金融機関が複数いますと、日程調整、意見とりまとめ、資料作成など、

全部企業が単独でやらねばならず、

ただでさえ資金繰りに窮しているのに、経営者は本業どころではなくなります。

社長が全部やらなければならない

メインが手伝ってやればいいのに、とか助言したこともあります。

メイン行呼びかけによるバンクミーティングについて、

慣れていない地元信用金庫さんとかのケースでは、

自行の方針もない中で、金融機関を集め、

お互い集まって意見を出し合いましょう、的な会議開催を要求するケースもあります。

たしかに、金融機関同士が知恵を出し合って、

局面を打開するということもアリかなとは思いますが、

バンクミーティングは「意思結集」の場であることから、

メイン行の方針が固まらない中で、「どうしましょう?」的な会議など

お互いが忙しい身の中で集めようとするわけですから、やめてもらいたい、です。

どうしましょうか?みなで考えましょう

バンクミーティングの場は、企業の再生可能性、メイン行の方針をしっかりと伝えることで、

下位行がメイン行に追随してくれうように、積極的に取り図る

それがメイン行の仕事だと思います。

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