こんにちは#ひろとし課長#です。
副業ブログのつもりが、自己満足ブログとなっている今日この頃、
そのうち誰かがみてくれるかな(笑)
これまで、地方銀行がなぜ事業再生に取り組むのか、から始まり、
再生企業の予兆発見、社長との目線合わせ、計画策定にはストーリーが重要など、
#ひろとし課長#流の論調を展開してきましたが、
前回でいちおう計画完成、バンクミーティングでの同意まできました。
今回は、計画が完成した後の、管理をどうするかについて述べていきます。
また、計画がその通りに進むなど、まずありえず、何度も何度も修正を繰り返す。
メイン行が支援を断念したとき、それが企業の倒産ということ。
そんなことについての考えも述べていきます。
計画完成=再生終了?
メインバンク主導型でも、支援協主導型でもそうですが、
金融機関も、コンサルも、支援協も、ましてや債務者までも、
計画を作成することに、全エネルギーを注力した結果、
バンクミーティングを経て、計画同意まで漕ぎつくと、
なんとなく終了みたいな感じ、達成感というか、脱力感というか、
そんなムードになることがよくあります。
まあ、金融機関の担当者からすると、
ホントに合意されるか、という緊張感のなかで、取り組んできたのでムリもありませんが、
債務者のところに行く頻度が減ったり、となるのは事実です。
でも、当たり前なのですが、計画を作って完了な訳ないのです。
実行して、かつ達成してはじめて「よかった、よかった」なのです。
計画策定は、企業が再生するためのスタート地点にたっただけなのです。
これからが本番ということなのです。
モニタリングとは?
再生支援協議会(現:活性化協議会)主導による計画には、
支援協による「モニタリング期間」というものがあります。
半期毎や決算毎、再生企業の進捗管理を行い、
ケースによっては、バンクミーティングを開催し、金融機関への説明や、
金融金融機関からの意見具申、指導を仰ぐ、こんなことをしています。
モニタリングとは、計画の進捗を定期的に検証する、ということです。
私の考えでは、計画の策定よりも、モニタリングの方が、はるかに大事だと思っています。
たとえどんなにすばらしい計画ができたとしても
実行しなければ成果はあがりません。
特に中小企業の場合は、もとより、自社で課題や問題点の認識をすることが不得手であったり、
また認識はできていても、組織的に解決できるような行動力、実践力に乏しいことが多いです。
まあだから、業況が低迷しているわけなのですが。
また、社長がオーナー企業の場合ですと、株主や取締役、外部からの圧力等もないため、
やらない、やったとしても中途半端、優先順位が後回しにされるケースもあります。
結局、自社のための取組みであると、頭でわかっていたとしても、
自社だけではうまくいかないケースが多いです。
ここで、唯一ガバナンスを利かすことができる、メイン金融機関の登場であります。
メイン行が、定期的(基本毎月)にモニタリングを実施し、
進捗状況やアクションプランの実施状況を確認する。
たしかに、金融機関にとっては手間ですし、負担も大きいしょうけど、
社長がオーナー企業の場合は、
メイン金融機関による「デット・ガバナンス」
計画が成功するためには、絶対にしなくてはいけないことと思っています。
なにをモニタリングするのか?
営業店のモニタリング報告を見ますと、
試算表、資金繰り表、その他業況に関する資料が添付されて、
業況説明のみにとどまる報告内容であること、が結構見受けられます。
これではモニタリングではなく、単に業況報告だけということです。
それでは、モニタリングとはなにを確認するのか、ということですが、
簡単にいうと、アクションプランの進捗状況をチェックするということです。
つまり、
- だれが、いつまでにやると決めた項目が、やっているかどうか
- やった場合、その効果は当初の予定通りか
- やっていない場合、やらない理由はなにか
これを社長に問いただすのです。
なお、アクションプランは複数の項目がある場合があり、
また優先順位や重要度も計画によって異なります。
全部確認していくと、大幅に時間もかかってしまうので、
計画策定時に、モニタリングで確認する項目をKPIとして決めておくことが多いです。
KPIとは企業や組織の目標を達成するために行う日々の活動の具体的な行動指標のこと。「Key Performance Indicator」の頭文字を取った言葉で、重要業績評価指標のことを指します。
計画完成直後のモニタリングでは、
お互いが慣れていないのか、また社長もメイン行の本気度がわからないのか、
上記の質問をしても、
たいてい、まだやっていない、できていない、
というような言い訳や話がかみ合わないケースが多いです。
お互いが不慣れであったり、モニタリング資料が作成途上みたいなところで、
最初のうちは、大目に見ることもありますが、
さすがに何度言っても計画を実行しない場合、
リスケ計画を白紙にする
と脅します。
これは当然です。
計画を実行して、業況が改善する、そのCFで返済をしてもらう、
それまで金融機関は返済を猶予する、という約束ですから。
計画を実行しなければ、金融機関はいつまでたっても返済してもらえない、ことになります。
これでは約束と違いますし、ましてやメイン行として、下位行に対してもメンツが立ちません。
あまりにも無責任な態度をとる社長には、断固毅然とした対応をする、
これがデット・ガバナンスなのです。
アクションプランがうまくいかない場合
アクションプランを実行しても、当初の目論見通りに効果が表れないケースがあります。
こういう場合は、当初の読みと異なる原因を確認し、追加のアクションプランを考え、実行する、
もしくは異なるアクションプランに切り替える、といった臨機応変な対応が重要です。
そもそも計画なので、全部が全部うまくいくはずがありません。
仮に、そのアクションプランが再生計画の骨子であったり、
重要な改善事項で、達成できないとそもそも成り立たないほどの重要な項目だと、
計画そのものを作り直す、ことも必要となります。
計画作り直しには、当然金融機関の同意が必要となるため、
再度のバンクミーティング開催となります。
当然に2度目、3度目となると、金融機関側も態度を硬化させることもあり、
全行同意にはハードルが上がることが多いが、これはやむを得ません。
定期的にモニタリングすることの利点は、こうした臨機応変の対応ができるということです。
決算後にしか行わないような場合、計画未達で大赤字に転落してから、
原因と対策を考えているようでは、もはや間に合わない可能性があるのです。
モニタリングは計画のPDCAを回すためにも、絶対に必要な活動なのです。
一勝九敗
企業の再生計画を金融機関が同意する、ということは、
担当者はその計画の実現可能性を認め、決裁をとるということ。
計画を作った段階では、
これでいける、
なんとかこれでいってくれ、
大丈夫かな?
金融機関の担当者としてもいろいろな思惑があると思います。
やはり計画ですので、外部環境の変化や競合先の出現などの想定外の出来事や、
当初の読みの甘さ、読み違えなど、複数起こりうるのです。
私も何度これで挫折しかけたことか。
でも企業に再生の可能性のある限り、資金繰りが持つ限り、
メイン行の担当者は諦めてはなりません。
再生企業が倒産するのは、メイン行が支援を断念したその時なのです。
つまり、メイン行が支援できるとしている限り、再生の可能性はあるのです。
最後に、ひとつ本を紹介します。
15年くらい前か、ユニクロの柳井さんの書いた「一勝九敗」という書籍を読みました。
・一直線に成功ということはほとんどあり得ないと思う。成功の陰には必ず失敗がある。
・実態はたぶん一勝九敗程度である。十回やれば九回失敗している。
・計画したら必ず実行するということ。実行するから次が見えてくるのではないだろうか。経 営者本人が主体者として実行しない限り、商売も経営もない。商売や経営で本当に実行しようと思えば、失敗しても実行する。まためげずに実行する。これ以外にない。
・極端に言えば、あらゆる計画は机上の空論だ、と僕はいつも思っている。いかに努力して計画しても、現実にぶち当たってみるまで分からないことが多い。逆に、自分で計画しないと机上の空論さえもできず、実行することもできない。
・十戦十勝ほど恐ろしいものはない。一勝九敗だからこそ、ひとつの成功に深みがあり、次につながる大きなパワーが生まれるのだ。
一勝九敗 柳井正著 新潮文庫
正常な企業が作成する計画の実現も難しいのに、
まして、再生企業の計画の実現はどれだけハードルが高いのか。
これは経験した人でないとわからないでしょう。
上層部からも、「お前、この計画大丈夫だっていってたじゃないか」
なんて、叱責されたこともあります。
こりゃ、だめだ。と思ったとき、
私は柳井さんの「一勝九敗」という言葉、考えを思い出し、
読み違いや、失敗など恥じることなし、計画がその通りに行く方がまれなのだ、
ここから巻き返してやる、
と、ひとりギアを入れ直し、奮闘したことが何度もあります。
再生計画の実現は、メイン行が企業とともに、
トライアンドエラーを重ねながら、実現していくものなのです。
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